「リーマンショックで最も稼いだ運用会社」と評される、「オークツリー・キャピタル・マネジメント」の創業者であるハワード・マークス氏。
企業の状況や経済サイクルを分析して正確に評価し、不良資産を安く購入して高く売る投資スタイルとされます。
「投資で一番大切な20の教え」という本を出版し、日本の投資家たちにも大きな影響を与えている人物でもあります。
ウォーレン・バフェットも、本書を絶賛し、大量購入し、株主総会で配布した逸話も残されています。
それ以外にも
・マクロ・ミクロの双方から経済サイクルを分析して正確に評価
・不良資産を安く購入して高く売るディストレス投資
・彼の投資戦略の「メモ」は著名な投資家の間で有名であり、ウォーレン・バフェット氏も称賛
など、投資の世界で大きく成功し、今でも精力的に活動している投資界の重鎮の一人です。
マークス氏が「どのような経歴で投資界の重鎮にまで成り上がったのか」、「投資手法はどのような方法なのか」についてで紹介していきます。
ハワード・マークス氏の生い立ち
日本学も専攻
ハワード・マークスは1946年にニューヨークのクイーンズで生まれました。
学生時代からとても優秀で、ペンシルバニア大学のビジネススクールで金融を学びます。
そして、シカゴ大学ブースビジネススクールで、会計とマーケティングの経営学修士号(MBA)を取得しました。
また、ペンシルベニア大学では日本学を副専攻としていました。
投資の才能を開花
卒業したマークス氏は、アメリカの金融企業大手シティグループで、株式調査アナリストとしてキャリアを積み上げていきます。
そして、ここからハワード氏は一気に投資の才能を開花させていく事となります。
シティグループで9年間働く中で、最終的には副社長及びシニアポートフォリオマネジャーのポストを手に入れるという驚異的な出世をします。
ディストレス債を取り扱う
1985年にはTCWグループという、カリフォルニアにある資産運用会社に加わります。
ハイイールド債などの利回りが高く、信用格付けが低い商品を取り扱います。
マークス氏は、この時に最初のディストレス債(経営破綻や経営不振となっている企業が発行した株式・債権)を取り扱ったといわれています。
投資会社を設立
1995年にハワード氏はTCWを離れ、オークツリー・キャピタル・マネジメントを設立。
凄まじい速さでオークツリー社は成長します。
アメリカのニュースチャンネル大手CNNからは「2008年の金融危機の際、投資家に多額の利益をもたらした企業」と評されています。
また、その後発生したリーマンショックに伴った大不況の中でも莫大な収益を上げました。
2012年にはオークツリーはニューヨーク証券取引所で新規株式公開しました。
また、2000年から2010年まで、ペンシルベニア大学の評議員会の議長を務めました。
現在でもハワード氏は精力的に投資の世界で活動しています。
オークツリーのクライアントへ向けた投資戦略に関する情報を示したウェブ上にある「メモ」は多くの投資家たちが参考にしています。
投資対象に捉われない投資スタイルとは
不良債権や値段が下がった社債などの金融商品を購入する事で成功してきたハワード・マークス氏。
そんなハワード氏が金融資産を購入する際の投資手法について紹介していきます。
二次的思考
例えば、「現在株式を保有している企業に悪材料のニュースが出てしまい株価が下がった」、「だから株を売ろう」という一次的思考をしてはいけないということです。
それよりも、思考を巡らせ悪材料は出たけど、これは売られすぎだから株価はすぐに回復していくだろう、というように市場の先回りをすることが重要だと説いています。
投資という世界で一歩抜きんでた利益を得る為には、常に先回りして考えていくことが大事ということでしょう。
市場サイクルを意識する
ハワード氏は「ほとんどの物事にはサイクルがあることが、やがて判明する」と考えています。
そして、利益・損失を生み出す時というのは、「市場にサイクルがある」ということを忘れた時だとも説明しています。
つまり、永遠に株価が調子が良いことはなく、その逆もまた然り。
とても当たり前ですが、もし自分の保有している銘柄が大幅なマイナスになった時、すぐに投げ売りをするのではなく、サイクルを意識した上で売買をすべきだといえるでしょう。
掘り出し物
「誰もが良いと思う株式」を購入すべきではないということです。
「自分が良い株だな」と思っている金融商品は、既に他の人にとっても良い商品である可能性が高く、大きな利益は望めません。
それよりも、他の投資家達が実際の企業価値よりも悪い印象を持っている銘柄を探すべきだと説明していきます。
例えば、「今注目の銘柄」のような経済誌に掲載されるような銘柄ではなく、実際に自分で業績の推移や決算資料などを細かく研究し、掘り出し物の金融商品を購入するのがハワード氏の手法です。
我慢する
「我慢すること」も投資で稼ぐための方法とも言われるように、いつでも投資をすれば稼げるということではありません。
投資を始めたての頃は、相場が動いているのを見ると、どうしても「この株購入してしまおうかな…」とポジションをとりたくなります。
ですが、「あまり動かずに状況を見極める事が最善策になることも多い」とハワード氏は説いています。
徹底的に掘り出し物の銘柄を調べ、割安になるまで購入は我慢することができた方は、大きな利益を稼げるということでしょう。
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投資の格言
ハワード・マークス氏が投資に対してどのような哲学を持っているのか、投資に関する格言から紹介していきましょう。
どの格言も、投資の本質的な核をついたような言葉ばかりで、きっとこれからの投資の参考になることでしょう。
投資の成功は、「良いものを買う」から生まれるのではなく、「ものをうまく買う」ことから生まれます。
出典:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え」投資の最大のエラーは、情報や分析の要因から生じるのではなく、心理的な要因から生じます。
出典:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え」歴史は繰り返されませんが、リズムはあります。
出典:ハワード・マークス「市場サイクルを極める」懐疑論と悲観論は同義ではありません。懐疑論は、楽観主義が過度であるときに悲観論を要求します。しかし、悲観論が過度である場合には楽観論も求められます。
出典:ハワード・マークス「市場サイクルを極める」
ハワード・マークス氏を詳しく知る方法
ハワード・マークス氏について更に深く知るための書籍を紹介します。
書籍:投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識
ハワード・マークス氏が執筆した書籍です。
ウォーレン・バフェット氏が大絶賛して株主総会で配ったそうです。
いわゆる投資ノウハウ本ではありません。
市場の見方やリスクの捉え方など、マークス氏の深い知見からの珠玉の名言が溢れています。
書籍:市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学
マークス氏がとても大事にしている市場サイクルのことが述べられています。
中長期的なサイクルの中で、投資家の心理や市場システムを踏まえ、何が起きるかを評価して、どのように読み取るべきなのかの知見を得ることができます。
まとめ
ハワード氏は、ファンダメンタル分析・テクニカル分析などの投資テクニックの他に、投資家の心理的な要因が重要だと説いています。
他の投資家が、「今このチャートを見て何を想うのか」を想像し、二次的思考で先回りすること。
また、時には「投資をしない」という我慢をし、市場サイクルを意識して投資をするということ。
これらを一つずつ丁寧に行うことが、投資という世界で大きな成功を掴むことにつながっていくのかもしれません。