ラリー・ロビンズという大富豪の投資家をご存知でしょうか。
ニューヨークの大手ヘッジファンド「グランビューキャピタルマネジメント(GCM)」を一代で築き上げた人物です。
GCM社は、70億ドル(約1兆円)もの資産を運用し、彼自身も2億ドル(約300億円)を保有しているとされます。
ラリー・ロビンズは、アメリカでは有名な投資家です。
ラリー・ロビンズが社長を務めるGCM社は、「約84%もの驚異のリターン率」を挙げた投資会社として評されます。
ラリー・ロビンズは、オバマ大統領の「オバマケア」による効果をいち早く見抜き、莫大な利益を獲得したことでも知られています。
本記事では、ラリー・ロビンズに焦点を当て、投資に対する名言や生い立ち、投資手法などを紹介していきます。
ラリー・ロビンズの生い立ち
文武両道の学生生活
ラリー・ロビンズは、1969年にアメリカのイリノイ州アーリントンハイツで、ユダヤ人家族の元で育ちました。
5歳の頃からホッケーを始めます。
ペンシルベニア大学に進みますが、そこでもホッケーのキャプテンを3年間務めます。
大学では、経営を学び、会計や財務、マーケティングにも心力を注ぎ、理学士号を取得しました。
アメリカの公認会計士の資格も取得し、まさに文武両道の学生生活を送りました。
ヘッドファンドの道へ
大学卒業後には、会社合併のアドバイザリーを行う「グリーチャー&カンパニー」のアナリストとして3年間働きました。
アメリカのヘッジファンド界では伝説とされる「レオン・クーパーマン」が率いる「オメガアドバイザーズ」においても6年間働きます。
レオン・クーパーマンはジョージ・ソロスと並ぶ、ヘッジファンド業界の大物であり億万長者です。
ラリー・ロビンズはオメガ・アドバイザーでアナリストとして6年間従事します。
脅威の84%のリターン
2000年、ラリー・ロビンズが30代のとき、グランビューキャピタルマネジメント(GCM)を創業します。
GCM社の由来は、彼がホッケーをした最初の街である「イリノイ州グレンビュー」にちなんで名付けられたようです
特に成功した事例としては、2013年に叩き出した「84.2%」のリターン率。
もしも、あなたが100万円を預けていれば、1年間で約84万円もの利益を得ることができました。
先読みによる投資
約84%ものリターンを得ることができた理由としては、当時のオバマ政権が制定した「オバマケア」が挙げられます。
この法律を簡単に説明すると、「アメリカ国民に健康保険を安い金額で提供すること」です。
アメリカでは、健康保険の保険料は高額です。
個人で申し込みをするのは難しく、多くの人々が無保険状態でした。
「オバマケア」は、人々が手軽に保険に加入できるようにする法律です。
ここに目を付けたラリー・ロビンズはいち早く行動します。
病院会社等へ投資することで、大きなリターンが得られました。
2014年時点では、5億7000万ドル(約600億円)を稼いだと報告されています。
その他の活動
2017年には、ニューヨーク市の貧困と闘う「ロビンフッド財団」の会長を務めています。
KIPPニューヨークおよびリレー大学院教育学研究科の両方の理事長を務め、ティーチ・フォー・アメリカの理事を務めています。
また、ホッケーチームである、USHLのシカゴスチールを所有しています。
ウォーレン・バフェットの投資スタイルと似ている?
ラリー・ロビンズの基本的な投資先の選び方は、ウォーレン・バフェットの投資手法と似ているところがあります。
ただし、その投資手法の中には、一見驚くような投資手法もあります。
ここからは、そんなラリー・ロビンズの投資手法を紹介していきます。
ストップロスを採用しない
「ストップロスを採用しない」というのは、個人投資家にとっては衝撃的なことではないでしょうか。
「ストップロスは投資の基本」と述べている、著名な投資家も少なく有りません。
ラリー・ロビンズはストップロスを採用していないそうです。
それは、「トレーダーではなくオーナーのように考える」という考え方に基づくものです。
「トレーダー」ではなく「オーナー」のように考えるのであれば、一度決めて保有した株式は、株価の上下に左右されるべきではありません。
ラリー・ロビンズは、保有した株式は、長期間にわたって保有すべきだと考えています。
GARP投資
ラリー・ロビンズは、主に「GARP投資」という投資手法を採用しております。
GARP投資とは、「グロース投資+バリュー投資」の両方を採用基準として銘柄を選択していく方法です。
短期ではなく、中長期の成長性という視点から判断します。
その視点から「割安」な銘柄をピックアップして投資をしていく方法です。
継続して収益を得ている企業を選ぶ
「収益源が繰り返し発生する企業」へ投資をすることに重点を置いています。
これはどういう意味でしょうか。
日本でも有名な「ピーター・リンチ」の考え方にも似ています。
リンチの具体例から引用すると、「投資家」として「一回飲めば治ってしまう薬」を販売している会社ではなく、「飲み続ける必要がある薬」を販売しているような「収益が繰り返し発生する企業」にこそ、投資をすべきだと述べています。
大型株を選ぶ
ラリー・ロビンズは、比較的、大型株に投資することを好んでいます。
それは、大企業は市場での地位が確立しているからです。
そのため、中小企業と異なり、大企業は今後の業績予想がしやすく、将来予測しやすいことが理由です。
(以下、PRを含みます)
ラリー・ロビンズ氏の投資の格言
ラリー・ロビンズは氏の格言を紹介します。
あなたが本当に「スポンジ」ならば、あなたは多くの異なる環境で多くを学ぶことができる。
5分間のエレベーターピッチを与えれば、何かを知っているかを証明できる。
3分から5分の議論で複雑な状況を要約できない場合には、あなたは本当に理解していない。私たちは理解がしやすく、かつ話し合う事が簡単なビジネスが好きです。
トレーダーのようではなく、オーナーのように考えて下さい。
ラリー・ロビンズ氏を詳しく知る方法
ラリー・ロビンズ氏の著作はありません。
そのため、彼の投資手法と似ている、ウォーレンバフェットや、ピーター・リンチの投資手法を参考にすることが考えられます。
まとめ
日本では、ラリー・ロビンズはあまり有名ではありません。
また、ラリー・ロビンズは、「ストップロスを採用しないこと」と「オバマケアによる投資で莫大な利益を得たこと」だけが目立っています。
この2つの表題だけを見ると、ギャンブル性が高い投資家だと勘違いされることがあります。
ただし、ラリー・ロビンズの投資先の判断基準を見ていくと、ギャンブル性が高いわけではないことがわかります。
彼の投資手法は、投資を学ぶ上では、参考に値することだと考えられます。
参考資料
- Billionaire Capital『Thinking Like an Owner is Working Out Well for Larry Robbins』 Medium
https://medium.com/ibillionaire/thinking-like-an-owner-is-working-out-well-for-larry-robbins-cb595d027abb - Paul Milnes『Larry Robbins – The Man of the Moment』 HEDGE THINK
https://www.hedgethink.com/larry-robbins-man-moment/ - Forbes『Larry Robbins』
https://www.forbes.com/profile/larry-robbins/?sh=45fd4f052e5c